光造形 (LCD/MSLA) vs FDM 方式 — 用途・予算・後処理で選ぶ完全ガイド 2026
公開: 2026-04-18約 5 分で読めます
目次
光造形 (LCD/MSLA) vs FDM 方式 — 用途・予算・後処理で選ぶ完全ガイド 2026
家庭用 3D プリンタの入口で必ず迷うのが「光造形を買うべきか、FDM を買うべきか」です。どちらも10万円以下で高品質機が買える時代になった一方、作業フロー・後処理・安全性・向くジャンルは大きく違います。本ガイドでは2026年4月時点の主流機をベースに、方式の違いと選び分けを整理します。

結論 (先に答え)
- フィギュア・ミニチュア・歯科模型のように「表面が命」の造形は 光造形 (LCD/MSLA)。積層 0.01〜0.05mm 級の滑らかさは別格です。
- 機構部品・実用品・家具パーツ・大物は FDM。強度・サイズ・素材多様性で有利です。
- 子供のいる家庭や寝室設置なら FDM 優先。光造形はレジンと IPA の取り扱いに注意が必要です。
- 初めての1台は ほとんどの人で FDM (Bambu Lab A1 / Creality K1C 級) が無難。光造形はセカンドマシンとして買い足すのが現実的です。
選び方のポイント
1. 精度と表面質感
光造形は XY 解像度が液晶の画素ピッチで決まり、2026 年の主流 8K 機で約 28μm、12K 機では 18μm 前後です。積層も 0.02〜0.05mm が標準で、フィギュアの毛流れや歯科模型の細部まで再現できます。FDM はノズル径 0.4mm が標準で、積層 0.08〜0.2mm、表面には必ず積層痕が残ります。
2. 造形サイズと強度
FDM は 256mm 角級 (Bambu Lab X1C / P1S) の大型機が10万円前後で、機構部品やトレー・ケースまで一気に出力できます。光造形は8K/12K機でも XY 200mm 程度が上限で、大きな造形には向きません。強度も PLA/PETG/ABS/PC の選択肢を持つ FDM の方が実用部品に回しやすいです。
3. 後処理の手間
光造形は造形後に「IPA (イソプロピルアルコール) で洗浄 → 二次硬化 (UV ライト)」が必須で、洗浄機と硬化機 (兼用機あり) が実質セット購入になります。未硬化レジンは皮膚刺激性があり、ニトリル手袋・換気・廃液管理が前提です。FDM はサポート材を外して、必要ならやすり掛け程度で完了します。
4. ランニングコストと匂い
FDM は PLA 1kg あたり 2,000〜4,000円、PETG で 2,500〜4,500円。匂いは PLA でほぼ無臭、ABS で要換気。光造形レジンは 1kg あたり 3,500〜8,000円で、開封時の独特な臭い + 造形中のレジン蒸気対策 (活性炭フィルタ・窓排気) が必要です。

主要機種比較表 (2026年4月時点)
| モデル | 方式 | 造形サイズ | 解像度 / 積層 | 実勢価格帯 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| Bambu Lab A1 | FDM | 256×256×256mm | 0.08〜0.28mm | 6〜8万円 | 入門FDMの定番。AMS lite対応 |
| Bambu Lab P1S | FDM | 256×256×256mm | 0.08〜0.28mm | 12〜15万円 | 密閉筐体でABS/ASA対応 |
| Bambu Lab X1C | FDM | 256×256×256mm | 0.08〜0.28mm | 18〜22万円 | フラッグシップFDM |
| Creality K1C | FDM | 220×220×250mm | 0.1〜0.3mm | 8〜12万円 | 高速&カーボン系対応 |
| Elegoo Saturn 4 Ultra | 光造形 (LCD) | 218×123×260mm | 19μm / 0.02mm〜 | 5〜7万円 | 12K・高速チルト |
| Anycubic Photon M5s Pro | 光造形 (LCD) | 223×126×200mm | 19μm / 0.02mm〜 | 6〜8万円 | 12K・自動レベリング |
| Elegoo Mars 5 | 光造形 (LCD) | 153×77×170mm | 18μm / 0.02mm〜 | 3〜4万円 | 入門光造形の定番 |
| Phrozen Sonic Mini 8K S | 光造形 (LCD) | 165×72×180mm | 22μm / 0.01mm〜 | 4〜6万円 | 細密な趣味用途向け |

用途別おすすめ
フィギュア・ミニチュア・ドールヘッド
光造形一択。Elegoo Saturn 4 Ultra か Anycubic Photon M5s Pro の12K機が現時点の最適解です。積層 0.03mm 前後で毛流れ・布しわまで出せます。
機構部品・治具・ロボットのフレーム
FDM。Bambu Lab P1S か X1C。PETG / ABS / PA-CF まで幅広く使え、剛性と耐熱の要件を満たせます。
ボードゲームコマ・小物雑貨
どちらも可。色替えを多用するなら AMS 付き Bambu Lab シリーズ、表面の綺麗さを優先するなら Mars 5 のような入門光造形が相性良しです。
ケース・工具ホルダ・家具パーツ
FDM 一択。光造形機のサイズでは足りず、強度も FDM の PETG/PLA+ が有利です。
歯科・ジュエリー用途
光造形の専用レジン (キャスタブル・歯科向け) 対応機。8K/12K クラスと二次硬化機のセット運用が前提になります。

よくある質問
Q. 初心者はどちらから始めるべき? A. ほとんどの人は FDM から始めるのが無難です。Bambu Lab A1 クラスなら箱出し 30 分で造形開始でき、後処理もほぼ不要。光造形は安全装備・洗浄二次硬化フローを整えてから入るのが安心です。
Q. 光造形のレジンはどう捨てる? A. 未硬化レジンは産業廃棄物扱いで下水に流せません。UV を当てて固化してから一般ごみへ、が基本 (自治体ルールを必ず確認)。IPA 廃液も同様に固化処理が必要です。
Q. 臭いはどのくらい? A. PLA はほぼ無臭、PETG わずか、ABS/ASA は要換気。レジンは製品差が大きく、植物由来・低臭レジンも出ていますが、無臭ではありません。居室兼用なら密閉+排気を前提にしてください。
Q. 両方持っている人はどう使い分けている? A. 「構造部品は FDM、飾り・頭部・小物は光造形」が定番。同じ作品を分割設計して両方式で出力し、後で組み合わせるワークフローが増えています。
まとめ
2026年の家庭用3Dプリンタは「綺麗さの光造形・実用の FDM」で住み分けが明確です。最初の1台はほとんどの人で FDM が正解で、フィギュアや歯科など「滑らかさが仕事になる」用途の人だけが光造形を先に選ぶ形になります。後処理・換気・安全装備の3点を先に見積もってから機種を決めると、買ってから後悔しにくくなります。
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12K→16K級LCD。フィギュア・歯科模型向けの高精細光造形
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